電流アンペア[A]の再定義

電流の基本単位アンペア[A]は
「真空中に1メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形断面積を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれを流れこれらの導体の長さ1メートルごとに2×10-7ニュートンの力を及ぼし合う不変の電流」
と定義されていましたが、2018年第26回国際度量衡総会(CGPM:仏 Conférence générale des poids et mesures)で電気素量eを用いて再定義(2019年5月20日施行)されました。

電気素量eによるアンペア[A]の再定義

「アンペア(記号は A)は電流のSI単位であり、電気素量eを単位C(A s に等しい)で表したときに、その数値を 1.602176634×10-19と定めることによって定義される。」
この定義は、1アンペアとは、1秒間に電気素量の \(\dfrac{1}{1.602176634}\times 10^{19}\) 倍の電荷が流れる電流であることを意味しています。

電気素量e

電気素量eとは、電気を帯びた粒子の最小の電気量のことです。これは電子1個が持つ電気量であり、あらゆる電気量は電気素量の正または負の整数倍となります。
電気素量が決まれば、電子の比電荷 \(\dfrac{e}{m_e}\) を測定して電子の質量も求まります。
1910年、ロバート・ミリカンはX線により電離してイオン化した霧状の小さい油滴の運動状態を観測することで、電気素量を測定しました。

図 ミリカンの油滴実験
ロバート・ミリカン

ミリカンは、1923年「電気素量」の計測と「光電効果」の研究によりノーベル物理学賞を受賞しています。