天然に存在する炭素原子は、12C, 13C, 14C があります。このように、原子番号が同じで、質量数の異なる原子を互いに同位体(アイソトープ)といいます。このうち、14C は放射線を放出します。このような原子を放射性同位体(ラジオアイソトープ)といいます。一般に、放射性同位体は原子核が不安定であるため、放射線を出して他の原子に変化します。このことを、崩壊または壊変(物理では崩壊、化学では壊変という表現のようです)といいます。

例えば、12C は β 壊変で 14N に変化します。

放射性同位体は医療や農業といった広い分野で利用されています。ここで、放射性同位体を用いた生存年代の測定を紹介します。

大気中の14Cは、光合成によって二酸化炭素CO2として木に取り込まれるため、木に存在する14Cは大気中と同じ割合に保たれます。

しかし、気が伐採されたり枯れたりすると14Cが大気から補給されなくなるため、壊変によって木の14Cは減少していきます。

14Cの半減期は5730年なので、遺跡から出土した木片に残存している14Cの割合を測定することで、木が生存していた年代を知ることができます。

これを放射性炭素年代測定といいます。

例えば、遺跡から出土した木片の14Cの割合を測定したところ、現在の14Cの割合の 116 であったとします。

この場合、1 ⇒ 121418116 つまり、5730年×4=22920年となり木片は22920年前のものと考えることができます。


例題
遺跡から出土した木片の14Cの割合を測定したところ、現在の14Cの割合の 110 であったとします。木片は何年前のものと考えられるか。 log210=3.32 として算出しなさい。
【解答】
14Cの残存量Nは、最初の量をN0とすると
N=N0(12)t5730
と表せる。
N=110, N0=1
を代入すると
110=(12)t5730
2t5730=10
t5730=log210
t=5730log210=5730×3.32=19023.6
よって、木片は19023.5年前のものと考えられます。・・・(答)