アボガドロ定数を概算する実験

現在、精密なアボガドロ定数の測定はシリコン(Si)の結晶を用いて測定されていますが、実験から概算を算出することもできます。

ステアリン酸 C17H35COOH の分子の形状は細長く、一端が親水基(水となじみやすい)、もう一端が疎水基(水となじみにくい)となっています。これをシクロヘキサン C6H12 に溶かし水位面に静かに注ぐと、ステアリン酸分子の疎水基を空気に向けて水面上に直立しながら集合し、1層の単分子膜を形成します。

単分子全体の面積を \(S\)、ステアリン酸1分子の断面積を \(s\) とすると、単分子膜に含まれるステアリン酸分子の数は \(\dfrac{S}{s}\)・・・① となります。ここで、ステアリン酸のモル質量を \(M\) [g/mol]、水面に注いだステアリン酸の質量を \(w\) [g] とすると、単分子膜にづ組まれるステアリン酸分子の物質量は、\(\dfrac{w}{M}\) [mol]・・・② となります。 アボガドロ定数 \(N_A\) [/mol] は、1mol当たりの粒子数なので、①, ②より

\(\dfrac{\dfrac{S}{s}}{\dfrac{w}{M}}=\dfrac{SM}{sw}\)

と算出することができます。